SAW2

ジンクスを吹き飛ばす続編

密室に対角線上に繋がれた二人、真ん中には射殺死体というシチュエーションと、どんでん返しなラストで、昨年スリラーファンの注目を一斉に集めた「SAW」の続編が一年振りに登場。前作の脚本・監督を務めたリー・ワネルとジェームス・ワンは製作総指揮にまわり、新人ダーレン・リン・バウズマンが監督を務めてはいるものの、正式な続編とのこと。
前回ラストで驚愕の正体を現した連続殺人鬼「ジグソウ」だが、今回は冒頭の方であっけなく逮捕。しかし、それが新たな惨劇の幕開けとなる。別の館には8人が既に監禁されており、彼らには2時間で死に至るガスが吸わされ、生き残るためにはジグソウの仕掛けたゲームをクリアして行かなくてはいけない。その中には、ジグソウを逮捕した刑事の息子と過去にジグソウのゲームに勝利したことがあるアマンダも含まれており、物語はサバイバルゲームに参加する8人の様子と、ジグソウと対峙して館の場所を突き止めようとする刑事の様子が平行して描かれている。
あまりのショッキングさに公開直前に修正したと言われる前回と違い、今回はスプラッターな描写が続出。最初の5分でギブアップする人がいるのではないかというテンションを見せつけ、それから先はこれでもかと凄惨な死に様をバンバン投下していく。おいおい、前回は修正したのに、今回はこれでオッケーかよと正直突っ込みたくなるくらい飛ばしていたので、前作は大丈夫だったけど、今回はNGだという人も結構居るかも知れない。とにかく見てるだけで「痛い」映像が満載とだけは言っておこう(忠告も含めて)。また、前回最大のどんでん返しだったジグソウの正体を逆手にとって、直接刑事と心理戦をさせようとするスタイルはナイス。これにより、前回のオチから先のストーリーとして活かせられるし、2つの物語を進行させることでワン・シチュエーションから生み出される窮屈さを見事打開している。前作のストーリーとのリンクも多々あり、思わずにやりとさせられた。
少し気になったのは、全体の作りがかなり大味になっていたことだろうか。前作では最後の大きな「オチ」の為に細かくミスリードさせていた緻密な脚本だったが、今回はラストに小さな「オチ」が連続して投下されており、その変わりにストーリーの進行やキャラクターはかなり力技でゴリ押しな感じ。細かい伏線やミスリードよりも、とにかく絵的な派手さを求めていった印象(ネタバレになるのであまり深くは触れないが、今回のどんでん返しもかなり絵的なものです)。大ネタに凝った本格ミステリーが「SAW」だとするならば、今回の「SAW2」は小技の効いたスプラッター・ホラーと言うところでしょうか。衝撃が弱い分インパクトに欠けるとは言え、この手の続編は必ず外れるというジンクスを打ち破り、ある程度の基準まで仕上げたのは素直に評価して良いと思います。でも、パート3はもういいかな(笑)。
念のために前作「SAW」のレビューも再掲しておきます。見ようかなと悩んでいる人は絶対前作を見てからにした方が良いです。だって、前作の大オチがいきなりバラされてるから(笑)。