The Power Out / Electrelane

このサナギから孵化したのは何か?

Power Out
思い返せば思い返す程、今年は行っておけば良かったと後悔するのだ。朝霧ジャム。無茶苦茶天気も良くて、ライヴも色々最高だったらしいじゃないか。青い空、富士山、音楽。考えるだけでもうっとりしてしまう。7月からの夏フェス連投で、心は満たされても財布と体力が真っ白に燃え尽きている僕には、10月のオートキャンプはあまりにもハードルが高すぎるのです。とは言えいつかは絶対行ってやるからな。見てろ。
で、行けなくて涙目で友達からの感想を見たり聞いたりしている中で、みんなが推していたのがこのElectrelane。イギリスのブライトン出身の女性4人組。元々はポスト・ステレオラブのようなアプローチのサウンドメイキングだったらしいが、プロデューサーがスティーヴ・アルビニになってから、タイトなバンドサウンドに変化し、今はインスト中心と言う風に音楽性を深化させているらしい。これはそのスティーヴ・アルビニがプロデューサーになり、バンドが大きな変化を遂げた記念すべきアルバム。ノイジーなギターと憂いた声が伸びるサウンドは、ソニック・ユースを思わせる不協和なメロディを生みだし、そこにベースとドラムがどす黒く絡まることで独特のグルーヴを練り上げていく。時折見せるゴスペル調なアプローチもグルーヴを更に黒くうごめかせる。まさに闇のマグマだ。爆発直前の熱が限界値ギリギリのラインで黒く煮えたぎっている。
全体的に過渡期としての未熟さが目立つものの、何かが孵化をする直前のサナギのようなエネルギーはしっかりと内包されている。ここから飛び立ったのは、美しい蝶か獰猛な竜か。その正体を僕は見極めていない。これは最新アルバムを聴かなきゃ駄目かな(笑)。