LET'S BUILD A FIRE/ +/-

どうしようもなく美しく、それでいて狂っている。

レッツ・ビルド・ア・ファイア
ああ、もう+/-の新譜が出ただけでも幸せだというのに、この完成度と言ったらどうしたことだろう。もう僕に狂えと言っているのだろうか。獣になっちまえと言ってるのか。酔っぱらっているかのようにふらふらと千鳥足を踏むギターサウンドが、リズムや声と重なり合って、いつの間にかひとつの絵を描き出すこの美しさよ。所謂ポスト・ロックエレクトロニカを基盤としたサウンドは一見激しさを欠いているように思えるが、バンドセッションの持つ強度は恐ろしく鋭い。ゆるやかに浮遊している音と音がぶつかり合った瞬間に生まれる、強烈な殺気。一撃必殺の獰猛さと、どうしようもなくセクシャルなサウンドスケープがただただ美しくて泣けてくる。この音楽には非常にシンプルで根本的な攻撃性が潜んでいるが、人間的な主張は一切ない。けれども、それが何だと言うのだろう。聴き終わったと同時に湧き上がる猛烈な性衝動は、完全にロックンロールのそれだ。自分で作った概念の檻を内側から突き崩す力。理屈なんかかなぐり捨てて、音に酔えばいいじゃないか。グッド・ミュージック万歳。所詮は僕らアニマルなんです。パンツ脱いじゃえ。