Johnny Boy / Johnny Boy

出会いたかった奇跡がここにある


いきなりで悪いんだけど、泣いて良いかな。というか、もう既に号泣してるんですけど。昨年シングル「You Are The Generation That Bought More Shoes And You Get What You Deserve」で出会って以来、ずっと恋をしていたバンド、Johnny Boyのアルバムが、遂に、遂に、遂に!発売になった(と言っても日本では現在、岩盤ショップのみの先行リリースで、正式に販売されるまではまだ時間があるのだが)。昨年末に一度、アルバムが発売されるという噂を聞いて小躍りしたものの、待てど暮らせどアルバムが発売される様子はなく、一時期はUKのオフィシャルサイトまで消失(後に復活)するという事態にまで陥り、このまま世に出ないのではないだろうかとめちゃめちゃ危惧していたのだが、事の真相はどうやら所属していたレーベルVertigoに突然契約を打ち切られ、法廷闘争に突入していたらしい。そんな紆余曲折を経て、今回めでたくオーストラリアのSpeak N' Spellからリリースされることが決定し、ようやく日の目を見たわけだ。良かった。本当に良かった。
と、発売が決まっただけでも泣いていたというのに、実際に聴いてみるとこれがまた泣けるくらい良いから困る。ジーザス&メリーチェーンの気怠く甘いメロディ、マイ・ブラッディ・バレンタインの体現させたフィードバック・ノイズの桃源郷プライマル・スクリームが放つケバケバしい毒。さらにヴァセリンズのへたれひねくれポップに、ベル&セバスチャンの持つイノセンス。その全てがこのアルバムに詰まっている。80年代後半から90年代のイギリスのロックシーンをごくりと飲み込み、その時代を切り取ったかのように産み落とされる珠玉の音楽たち。一曲一曲のクオリティと振り幅は恐ろしく広いのに、輪郭をぼやけさせることなく、すっきりと全体をまとめる手腕は流石と言うほかない。耳が壊れるまで鳴り続ける祝福のウォール・オブ・サウンドの嵐。ああ、僕はこういう幸福と高揚感にもう一度出会いたかったんだ。素晴らしき音楽に感謝。

一応昔書いたシングル「You Are The Generation That Bought More Shoes And You Get What You Deserve」のレビューも再掲。本当に素晴らしいので、このシングルだけでも聴いて欲しい。