TRU CALLING

死者を救え!時間巻き戻しサスペンスの傑作

トゥルー・コーリング DVDコレクターズ・ボックス1
世間では「24」シーズン4がレンタル解禁となり、あちこちでレンタル戦争が繰り広げられているようなのだが、DVD購入派の僕としては後2ヶ月ほどお預け状態。その間の暇つぶし、というほどいい加減過ぎる気持ちでもなかったが、友人の勧めもあって、この「TRU CALLING」を見てみたら、これがモノの見事にはまった。最初から血液が沸騰するような興奮を覚えたわけではないが、回を重ねるごとにじわじわとその世界に引き込まれ、いつの間にか四六時中この作品の事を考えるまで夢中になっていた。
死者の「助けて」という声を聞くことにより、その一日をやり直せる能力の持ち主である主人公のトゥルー。彼女はその「やり直しの一日」で、一度は死んだ死者を救うために全力で奔走することになる…というのが大まかなあらすじだが、この「死者から呼ばれることで一日をやり直せる」という前提ルールを色々なシチュエーション(一度に複数から呼ばれる、やり直すが救えない、何度も一日を繰り返して終わらせられない…など)でスクラップ&ビルドし、作品の世界を広げることに成功しているのがこの作品の最大の魅力。パターン化してすぐにつまらなくなりがちになってしまうタイプの物語なのに、視聴者を飽きさせることなく、ぐんぐんと作品の世界に引き込んでいく手腕は見事。
小気味良い会話の応酬と、適度な謎解きが加味されたスピーディなサスペンス。それはゲームのステージをクリアしていくような感覚に似ている。回を増すごとにトゥルーがクリアしなければいけない条件は難易度を増し、物語の終盤には「もう一人の能力者」が登場し、トゥルーの使命を邪魔しだす。ただ助けるだけでなく、二人の能力者による「死者の命を賭けた争い」は、人の死生観の対立を浮き彫りにすると同時に、単純に盤ゲームの好勝負を見ているようで純粋にハラハラワクワクする(事実物語終盤のエピソードはどれもギミックが効いていてクオリティがかなり高い)。
ただ、この作品。本国では打ち切りになっており、物語が中途半端なところで終了してしまっている(全26話中、後半の6話が打ち切りにあったセカンド・シーズン分)。非常に高クオリティの作品だけに残念でならない。更に、当時チームに加わっていた脚本家の一人が、自分のBlogで今後展開されるはずだった構想を明かしており、それをがまた滅茶苦茶エキサイティングな内容だけに是非続きを!という気持ちが日に日に強くなっている。
この「TRU CALLING」が中途半端な終焉を迎えた作品であるにも関わらず日本に上陸したのは、日本の20世紀FOX担当者が心底この作品に惚れ込んで、日本で人気が出れば再度制作が出来るきっかけになるのではないかと思って販売に踏み切ったという話を聞いた(本当かどうかは定かではないけど)。実現するかどうかは分からないけど、少なくとも僕はこの続きが見たくてたまらない。だから、これを読んで気になった人は、騙されたと思って取り敢えず一巻を見て欲しい。そして最後まで見届けることが出来たなら、続きが見たいと思ったなら、こちらの嘆願書にサインして欲しい(完結編を劇場版でという内容のもの)。結果的にドラマの主人公たちが視聴者に「ヘルプ・ミー!」と叫ぶ羽目になっているなんて皮肉以外の何物でもないけど、一日をやり直す能力のない僕たちが出来ることは作品を呼び戻すことくらい。死者は救えないけど、このくらいの奇跡だったら僕たちだって起こせるんじゃないかな。
後、この作品にはまった人なら、確実に「バタフライ・エフェクト」が好きなはずなので、こちらも要チェック。テンションの高いハイスピードな"やり直し系"タイムトラベルサスペンスを思う存分満喫出来るはず。