L.D.K Lounge Designers Killer / Capsule

鮮やかに花開いた東京サウンド

L.D.K Lounge Designers Killer
前作から僅か7ヶ月でリリースされたCapsuleの新作。リリースのスパンは短いのに内容が衰えるどころか、加速度的に良くなって行くことに毎度驚かされる。ハウス、ボサノヴァ、ラウンジ、ネオアコ、ポップとありとあらゆる要素を雑食的に取り込みながらも、その手のサウンドメイキングで陥りやすい過多な味付け感を出すことなく、スッキリと聴かせる職人の技。気分が滅入っているときでも、疲れているときでも"別腹"で入っていく。一流パティシエが作ったケーキのように、胃もたれさせることなく"音楽の胃袋"を満たしてくれるのが何とも嬉しい。

RAM RIDERもそうだが、これぞ東京サウンドの極みというか、洋楽邦楽全部飲み込んで一旦消化して、それで育ってきた世代たちの音と言うことに注目したい。元祖渋谷系世代は、洋楽を取り込むことで必死で邦楽を洋楽化させてきたのに対して、彼らは最初からそれを邦楽として鳴らしている完全な二世世代。だからこそ、ナチュラルボーンな渋谷サウンド(様々なエレメントをごった煮にし、それでいて煌びやかでファンタジックな東京のイメージを極端に抽象化した音色とも言うべき)を生み出せるのだと思うが、彼らがやがてネオ渋谷系と言われて花開いていくのかというと難しい気も(ネオ渋谷系は生まれると思うが、ムーブメントまでには至らない気が)。どうアレ最初から負け犬な90年代ノットデッドな僕様ちゃんのためにあるようなすんばらしい幸福感満載です。試聴はコチラから(音が出ます)。どうやら景気は回復しているらしい(色々な意味で)。