バック・トゥ・ザ・フューチャー 20th アニバーサリーBOX

マーティが見た未来まで、後10年。

バック・トゥ・ザ・フューチャー 20th アニバーサリーBOX [DVD]
ベタベタで申し訳ないのだが、僕が生まれて初めて見た洋画はこの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」なのだ。テレビの映画放送で親と一緒に何気なく観た初めてのハリウッド映画は、僕をえらく興奮させ、録画したビデオテープを何度も何度もリピートさせた(毎朝5時に起きて、学校に行くまでの時間に観ていた。親は本気で心配したらしい)。
タイムマシンで過去に戻ってしまい、昔の母親が自分に恋をしてしまったが為に存在そのものが危うくなってしまうと言うタイムパラドックスを明快なかたちで打ちだした良質のエンターテイメントムービー。バックを彩るZZトップの「パワー・オブ・ラブ」からチャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」のカヴァー(マーティの弾くギターは名器ES335!)などの新旧アメリカンロックのオンパレード。今思えば、映画としてもロックとしても僕の原体験であり、始まりだったかもしれない。冒頭のシーンが馬鹿デカイアンプにギターを差し込んで吹っ飛ぶというのが既にロック過ぎる。あのワンシーンだけで六弦をかき鳴らすエクスタシーを何度でも味わえるほどだ。
僕は、今でこそ所謂音楽ライターという仕事を何故かやっているが、その昔は本気で脚本家になろうと思っていた身で、10代の頃に、勉強のために観た映画を全てプロットに書き起こすという作業をしていて、それを100本ほどやったのだが、この映画のプロットの構造は本当に美しく、これこそお手本とも言うべき完璧さを誇っていた。1、2、3それぞれの横の伏線も綺麗に繋がっているのだが、それ以上にシリーズを通しての縦の伏線までが美しく配置されている。僕は自分で書き起こしたそのプロットを何度も恍惚の目で眺め、そして接吻したものだ。いつかは自分もこんなプロットとストーリーの書ける男になろうと堅く決心した(それなのに、何処でどう道を踏み外したのだろう・笑)。
続く、パート2は公開初日に学校をサボって映画館まで観に行って、ホバーボードや空飛ぶ車に目を輝かせ、「ホバーボードが欲しい」と本気で言った。当時中学生だったのに。現実と非現実の区別も出来ていたのに、本気で、口に出して言った(親は本気で心配したらしい)。完結編のパート3も学校をサボって観に行って、広大な西部の地と、蒸気機関車に恋をし、その後に遠足で行った明治村の機関車で映画のクライマックスの真似をしようと窓から身を乗り出して教師に殴られた(親は本気で息子がおかしくなったと確信したらしい)。そして大人になった今も、USJのアトラクション「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ライド」に何度も乗りたがり、デロリアンのレプリカの前できゃっきゃ狂喜乱舞しながら写真を撮るほど、僕はずっとこの映画に恋をしている。今現在免許と呼ばれるものはひとつも持っていないが、もしデロリアンが再生産されて売り出されるというなら、僕は死ぬ気でマニュアルの免許を取るし、臓器を売ってでも買うと思う。
それほど愛した「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の20周年記念DVDセットが出ると聞いて、前回のトリロジーボックスを購入し忘れた僕としては、小躍りしてしまったのだが、値段を見て足が止まった。って、ええ!?15000円って!!! 前回のトリロジーですら10000円ほどで、現在に至っては 単品で買えば、ひとつ約1500円。シリーズ全部を揃えても4500円だというのに。一体、その5000円から10000円の差額は何処にあるというのだ。色々訝しく思いながら詳細を見てみると、特典として何やら小物が沢山追加されるらしい。

デロリアン・ナンバープレート完全復刻版(予定)
●オリジナル・ポストカードセット
●ドクからマーティへの手紙
→1885年のドクが1985年のマーティに宛てて送った手紙3枚と封筒。撮影で実際に使われたもののレプリカ。
スペシャル・バージョンキューブリック・セット
→以前発売されていたキューブリックスペシャル・バージョン。今回、BOXセット専用仕様で新登場。
スペシャル・ブックレット「BACK TO THE TIME」
→キャスト&スタッフのインタビューや、BTTFを楽しむトリビアネタの他、スペシャル・ショットも満載の豪華ブックレット。
デロリアン・ペーパー・クラフト
※特典の名称は仮称です。また特典内容は変更する場合がございます。
注目点:
■劇場公開から20周年を記念して、新たな特典ディスクと豪華アイテム付きの特別BOXで新登場!
■特典ディスクにはマイケル・J・フォックスのインタビューや未公開シーン等、貴重な映像を収録!
■実際に映画で使用されたグッズのレプリカ等、魅力的な特典アイテムを満載にしたBOX

うーん。デロリアンのナンバープレートやスペシャキューブリックペーパークラフトと、マニア心はくすぐられるが、それでも流石に高い気がする。いやいや、しかし、これは僕が人生で最初に手にした未来へのタイムトラベルのチケットなのだ。自分へのご褒美に買っても良いじゃないか。シリーズ全作、それぞれ30回ぐらい見直しているが、ドクはラストにいつも微笑んで「未来は白紙だ。君の好きなように描けばいい」と言ってくれた。その言葉を信じて僕はここまで生きてきました。これからもきっと生きていくでしょう。マーティが見た2015年まで後10年。空飛ぶスケボーや車、ヒーター内蔵のジャケットにポケットを出すファッションはきっと生まれないだろうけど、音楽はMP3になったし、テレビは薄くなった。未来は、人の進むべき道へと向かうんだ。ロック的に言うと、「お前の未来を愛してる」ってこと。サンダーバードヒルズ。
問題は、発売日の11/25に出る「24」シーズン4「踊る大捜査線」のDVDボックスを既に予約していることでしょうか(笑)。この何もかも有耶無耶な論理では同居人を納得させられないのが辛いところ。