STARS OF CCTV / HARD-Fi

生きるか、死ぬか

スターズ・オブ・CCTV(初回限定ハッピー・プライス)
サウス・ウエスト・ロンドンの労働階級出身の4人組、HARD-Fiのデビューアルバム。パンク、レゲエ、スカ、ダブ、ディスコを飲み込み、キャッチィなメロディと攻撃性溢れる歌詞で、オーディエンスのハートをがっちりつかんでくる曲は、マニアックになりすぎず、かといってポップに偏りすぎているわけでもなく、どれも絶妙のバランスで成り立っている。フィジカルでありつつも、ヘビィロックのように真っ向から切り崩しに掛かるのではなく、竜巻のように相手を取り囲んで根こそぎ抜き取ってしまうような遠心力を持った00年以降の全く新しいレベルミュージックとも言うべきフットワーク。喧嘩の仕方をよく知っていると思う。
クラッシュ・チルドレンのTHE DEAD 60'sスペシャルズ・チルドレンのTHE ORDINARY BOYSが登場するなど、UKではダブやスカ、ヒップホップなどの攻撃性の高いビートが再び注目を集めているようだ。それらの多くは街のストリートを主体に広まっており、ライヴハウスやクラブシーンや、メディアとは全く違った動きを見せていることも面白い。ストリートから上った反抗の狼煙。彼らが鳴らしているのは訴えでも嘆きでもなく、「生きる」ために「勝ち取る」ために手にした巨大なライフルだ。うかうかしていると撃ち殺されかねない、極めて危険なロックンロール。ライフルに撃たれて死ぬか、共に勝ち取るか。狩るか、狩られるか。この世は所詮、弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。HARD-Fiは現実をまざまざと見せつける。目を離したら、その瞬間に食われてしまう獰猛なまでの攻撃性。「闘って生きるか、このまま死ぬか」と銃口を突きつけながら彼らは僕たちに問いかける。闘うことから逃げたとき、人間はその瞬間に負けている。精神的に死を選んでいる。生きるためにどちらを選ぶのかは、自明の理というものだろう。

試聴はコチラで出来るので要チェック。