AMUSEMENT PARKS ON FIRE / AMUSEMENT PARKS ON FIRE

暴走するフィードバック・ノイズ

Amusement Parks on Fire
若い頃に所謂"シューゲイザー"にもの凄くハマりまくって、そのジャンルの物をとにかく漁るようにして聴いたのだが、今となってはさっぱり聴かない。それどころか、店のポップで「シューゲイザー継承者」や「マイブラフォロワー!」という文字を見るだけで食傷気味にもなる。一生分聴いたと言うほど聴いた覚えもないのだが、僕自身がシューゲイザーに対してあまり心が動かされなくなったのは、最早様式美として完成されてしまい、それ以上のものを生み出せない行き止まりを感じずには居られないからかも知れない。幾重にも重ねられたフィードバック・ノイズと轟音から生み出される酩酊感は何とも言えない心地よさを味わわせてくれるが、その先がない。「フィードバック・ノイズ+甘美なメロディ」という方程式が成り立ってしまった以上、どんなに新しいバンドが出てこようとただの模倣でしかない。本当に極端に言ってしまえば、MY BLOODY VALENTINEの「LOVELESS」一枚があればそれで済む話なのだ。シューゲイザーに残されたのは、それを如何に破壊、再構築するかという命題だ。
イギリスはノッテンガム出身のマイク・フィーリック(19歳)のソロ・ユニット、AMUSEMENT PARKS ON FIRE。バンド形態の録音が成されているが、プレイは全て彼一人によるものとのこと。これも最初に手にしたときは、正直いつものような音が最初から最後まで聴こえて来るだけだろうという諦めにも似た境地でプレイヤーをスタートさせたが、少し味わいが違った。Dinosaur.Jr、Pixies直系のメロディと疾走感が轟音フィードバック・ノイズと絡み合い、まるで制御の効かないミサイルのように蛇行しながら飛び回っては、上空で大爆発を起こす。またMOGWAIのように静謐から爆音に移行する音響系的なアプローチも見せており、年齢を考えれば非常に器用な音作りをしていると言える。とは言え、手法やバックグラウンドを踏まえると、サウンド的にはそれほど珍しくはない部類に入るのだが、"気怠さ"が特色であるこの手のサウンドからは絶対発せられない、ポジティヴな「青さ」が滲み出まくっているのが、僕の琴線に触れた最大の要因だろうか。アーティストの若さにも起因しているのだろうが、ここまで突き抜けた青春シューゲイザーというのもなかなか珍しい。模倣の模倣による劣化コピーで、すっかりと色褪せてしまった七色フィードバックを塗り替えるのは、鮮烈な青一色かもしれない。

オフィシャルサイトはコチラ。音源もいくつか試聴出来るが、それよりもポップアップで現れるツアー告知に日本語で「見かけの大きさの変化」と書いてあるのが、格好悪すぎてイカス。っていうか、下ネタかよ!(笑)