枷があった方が光る才能 今や飛ぶ鳥を落とす勢いの宮藤官九郎初監督作品。しりあがり寿原作の漫画をクドカンが映画化するとなれば、期待せずにはいられないと言う程相性抜群の組み合わせだと思っていたのだが、観賞後の感想は一言で言うと微妙。やりたいこと…
え? これギャグなの? 本気なの? 飛行機事故で息子を失ったテリーは、その悲しみから逃れられずにいた。そんなある日、彼女を不思議な出来事が襲う。飾ってあった写真から息子の姿が消え、夫も「息子はいない」と言い出し始める。他の人に聞いても、皆口を…
大人も子供もおねーさんも。 昨年のデビューアルバム「□□□」ではインストゥルメンタルと歌モノを同居させ、音響的アプローチとポップミュージックの間を行き来する幅広い音楽性を見せつけた彼ら。11ヶ月振りにリリースされたこのセカンドアルバムでは、プロ…
このサナギから孵化したのは何か? 思い返せば思い返す程、今年は行っておけば良かったと後悔するのだ。朝霧ジャム。無茶苦茶天気も良くて、ライヴも色々最高だったらしいじゃないか。青い空、富士山、音楽。考えるだけでもうっとりしてしまう。7月からの夏…
待ちに待ったCD化! THE POP GROUPの解散後に結成された分派バンド、Maximum Joy。イギリスの中でも、独自の音楽性が育っていることで知られるブリストルから、ファンク、レゲエ、ソウル、ジャズをベースにしたポスト・パンクなサウンドで当時のニューウェー…
新感覚ソリッド・シチュエーション・スリラー えーっと、これから見よう、もしくはちょっと気になっているという人はここから先は一切読まないで下さい。見てから読んで下さい。直接的なネタバレは避けますが、敢えて何の情報も無しで見た方が絶対面白いと思…
ジンクスを吹き飛ばす続編 密室に対角線上に繋がれた二人、真ん中には射殺死体というシチュエーションと、どんでん返しなラストで、昨年スリラーファンの注目を一斉に集めた「SAW」の続編が一年振りに登場。前作の脚本・監督を務めたリー・ワネルとジェーム…
暴走するフィードバック・ノイズ 若い頃に所謂"シューゲイザー"にもの凄くハマりまくって、そのジャンルの物をとにかく漁るようにして聴いたのだが、今となってはさっぱり聴かない。それどころか、店のポップで「シューゲイザー継承者」や「マイブラフォロワ…
ねだるな。勝ち取れ。さすれば与えられん。 放送時間が日曜朝7時なので朝起きられず、全体の2割程を飛ばし飛ばし見ていたのだが、やはり話の全貌が全くつかめず。物語も後半戦に突入してきて、このまま置いてけぼりを食らうのは流石にまずいかなと思ったので…
燃え尽かせてもらえない皮肉 一昨年は「You Know You Are Right」を収録したベストアルバムを発売、去年は未発表デモトラックを大量にパッケージしたボックスセットを発売し、今度はそのボックスセットから曲を更に絞り込み、3曲の未発表音源を追加して販売…
日常が紡ぎ出す、最大限の愛の歌 正直なところ、前作「アンテナ」は良さが余りよく分からなかった。確かに「バガボンド」の斬り合いのようなバンドサウンドはダイナミックで凄まじいまでの殺気を放っていたし、修行僧の如く求道の果てに打ち出した日本ロック…
手を叩け、イエイ! ニューヨークの噂の5人組、Clap Your Hands Say Yeahのデビューアルバム。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドから脈々と語り継がれているニューヨーク・パンク直系の気怠く放物線を描くノイジーなギターと、ペイブメントを思わせるロー…
食う者と食われる者を超えた友情は、恋愛感情なのか。 きむらゆういち氏原作による児童書をアニメ化したアニメ映画。原作は累計200万部という児童書としては驚異的な売り上げを誇る人気作ということで、今回の映画化は結構な力の入りよう。伝統的なセルアニ…
醒めない夢 ニューヨークのブルックリンを拠点として活動するAnimal Collectiveの5枚目となるニューアルバム。ニューヨークという一筋縄ではいかないバンドが多く輩出される街の出だけあって、彼らの音楽性を説明するのは非常に困難なのだが、ノー・ウェーブ…
生きるか、死ぬか サウス・ウエスト・ロンドンの労働階級出身の4人組、HARD-Fiのデビューアルバム。パンク、レゲエ、スカ、ダブ、ディスコを飲み込み、キャッチィなメロディと攻撃性溢れる歌詞で、オーディエンスのハートをがっちりつかんでくる曲は、マニ…
Stop Crying Your Heart Out タイムスリップによる過去改変とそこから起こるタイムパラドックスに翻弄される主人公というのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで散々やり尽くされたネタで、このシリーズのイメージが大きすぎるのもあるのだろうけ…
光のカケラ くるり、中村一義、Number Girl、Supercar。彼らに共通しているのは、00年にこぞってダンスミュージックを飲み込んだ独自のロック路線を生み出したということ。渋谷系以降の「邦楽の洋楽化」が完全に行き詰まり、世紀末という究極の最終形から沸…
いい加減、目覚めなさい! 何だか分からないが凄い人気らしいぞ、ELLEGARDEN。いや、ごめんなさい。「何だか分からないが」と冒頭であっさり書いてしまうくらい、僕はこのバンドの良さがほとんど分からなかったと言いますか、まあ、典型的な聴かず嫌いだった…
キャンディ・ポップ・マジカル アイルランド出身の5人組バンド(女:2/男:3)のデビューアルバム。ニューウェーブな匂いをプンプン漂わせつつも、独特のローファイ感や、ロリな女性ボーカルが醸し出す変なテンションが妙に病みつきになる不思議なバンド。人…
世界は変わっても僕らは生きる。 舞台は東西分断時代のドイツ。10年前に家族を捨てて西ドイツに亡命してしまった父。その現実から目を背けるために、ひたすら社会主義へとのめり込む母。そんなある日、反社会主義のデモに主人公が参加している姿を母が目撃し…
たった一枚で全英を制圧したバンド デビューシングル「Five Minutes With Arcic Monkeys」で全英を湧かし、アルバムも発売していない段階でライヴのチケットは一ヶ月前には全てソールドアウト。火をつけたシングルも既に完売し、eBayで高騰するほど入手困難…
孤高のエレポップ復活 UKテクノシーン、エレポップムーブメントの中心的存在、Depeche Mode。95年にアラン・ワイルダーが脱退してから一時的なスランプに陥っていたものの、前作「Exciter」で見事に完全復活を遂げ200万枚のセールスを獲得。自分たちの持ち味…
勃て! 濡れろ! まさかこの歳になって音楽を聴いて勃起するとは思わなかった。先日の野宮真貴のレビューでも少し触れたバンコク発、多国籍音楽集団Futonの日本デビュー特別編集盤。タイ人+日本人+イギリス人+元Suedeのドラムという雑多な人種から生み出…
ただのチャートヒッターで終わるのか、新世代のフリッパーズ・ギターとなれるのか。 このCDが売れない時代に前作「MusiQ」のセールスが200万枚を突破するという快挙を成し遂げたORANGE RANGE。ヘビィなギターと3MCによるスピーディなマイクリレーを基本とす…
Party People On The Piano! 野宮真貴(ex ピチカート・ファイヴ)の5thアルバム。ファッション分野においても、音楽分野においてもパイオニアであり続ける彼女が今回挑んだのは、原点とも言うべき80年代。MTVの襲来により、洋楽も邦楽も分け隔て無くラジオ…
海に生きる 制作7年、ロケ地は200ヵ所、撮影フィルム7000時間という膨大な記録の中から、厳選に厳選を重ねた映像を集約した海洋ドキュメント。マイワシからシロナガスクジラ、更には深海生物まで含めた海のあらゆる生物の生きる姿を追っている。 ポイント以…
デンマークからの静かな奇襲 Mew、Kashmirと密かに注目を集めだしているデンマークだが、またひとつ注目を集めそうなバンドが頭角を現してきた。DIEFENBACHというコペンハーゲン出身の5人組。元々彼らはポストロック的なインストゥメンタル集団で、その筋で…
ジャッジに一票(既聴) 「ジャッジに一票」って、いきなり何を言ってるんだと思っている人も大勢居るかも知れません(と言ってもここ見てる人なんてほとんど居ないんですけど)。このレビューはbounce.comで連載がスタートした「菊地成孔のチアー&ジャッジ…
未完のメランコリィ 今年のフジロックでトリを務めたことも記憶に新しいNEW ORDER(4年前のホワイトステージの悪夢を吹き飛ばす素晴らしいパフォーマンス!)の81年のデビューから、06年シングルカット予定曲までを一気にひっくるめたシングル集。とは言え、…
プレミア・ライフはすぐそこ FIFA初公認のサッカー映画「GOAL!」。ロサンゼルスに住む貧しい若者が、地元のサッカーチームでプレイしているときにイギリス人のスカウトマンに見いだされ、立身出世をしていくというサクセスストーリー。総制作費は1億ドルで3…